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刺繍職人「i さん」のこと

2002年5月の中頃突然、工房見学に来られました。古い刺繍を一つ一つ見てまわり、にこにこ楽しそうに刺繍に語りかけるようになにやらぶつぶつ言っていましたのでよく聞いてみると・・・・・
「この職人はここに癖があるなー」
「この仕事はここから始めているなー」・・・
私には、何を言っているのかよく分かりません。
聞くと・・・・・
「一年前まで40年間刺繍をしていたが、今は車の運転をしている。」
「後一年でも半年でも刺繍をしたい」
「(昔の)人の仕事でも、仕事ぶりは分かる」
「ここにいると落ち着く」

工房の仲間達も頷くので週に2日程度来てもらうことになり、翌週から手伝ってもらうことになりました。
直ぐに週3日になり、4日になり、毎日来ることになりました。
昔の職人と語らいながら針を刺しているようで、周りのものもほほえましく感じていました。
手の運び方、針を刺す音、一気に仕上げる手際の良さ。
京都の伝統の奥深さを感じました。
こういった職人さんが・・・・人知れず伝統を守ってきたのだと改めて嬉しく思いました。
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残念ながら、病気で急に工房を去ることになりました。
在籍は4ヶ月と少しでした。
昨年、「刺繍修復展」を開催したとき、病を推して会場に足を運んでくれました。
いつかまた一緒に仕事が出来ればいい・・・・と今も思っています。

2008年11月29日(土) |  職人の技と想い


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